「シャトー・オー・ブリオン」は五大シャトーの中で、唯一メドック地区ではなく、クラーヴ地区から認定されたシャトーで「柔らかい土のような豊かさを持つ」と古くから評価されています。その歴史は500年以上にも及び「あらゆるブドウ畑の中で最も古く輝かしいもの」と言われてきました。
その輝かしいブドウ畑から造られるシャトー・オー・ブリオンは著名なワイン評論家が「この偉大な一級シャトーは世界で最もエレガントでアロマの複雑なワインを作っている」と絶賛するほどですが、長い歴史の中で一時期低迷期もあり、スタイルを変えつつ年々変化を遂げてきました。
低迷期は1960年代~1970年代で、それ以降は安定してエレガンスなワインを作り続けています。
ボルドーワインの特徴として、一級に満たないワインは「セカンドワイン」として市場に出荷されていますが、シャトー・オー・ブリオンのセカンドワインである「ル・バアン=オー=ブリオン」はボルドーで最高のセカンドワインと言われています。
シャトー・オー・ブリオンがスタイルを変えつつ品質を向上させていった結果、必然的にこのセカンドワインの質も上がったからです。
また、シャトー・オー・ブリオンは白ワインも造りますが、生産量が極度に少なく、日本の市場に登場することはまずありません。
その出来は『驚異的なモンラッシェに匹敵する』と評価されており、ワイン通なら一度は口にしてみたい絶品の白ワインの一つです。
ここで「シャトー・オー・ブリオン」が五大シャトー入りするきっかけとなったエピソードをご紹介しましょう。
ナポレオン戦争でフランスが敗れ、敗戦国の処遇を決める1814年のウィーン会議でフランスは国土を失うか否かのピンチに陥っていました。
そこでフランスの外相タレイランは、各国代表に連日連夜豪華な料理と、当時から一級ワインで知名度があった「シャトー・オー・ブリオン」を振る舞った所、各国代表が態度を軟化させ、フランスは国土を失う事がなかった、という話が残されています。
料理とワインをふるまうと言うところが実にフランスらしいお話ですね。
たまには、フランスの歴史を味わってみるのも良いかもしれません。