ワイン好きの中で「アンリ・ジャイエ」の名前を知らない人はいません。
ブルゴーニュと言えば世界でもトップクラスのワインの産地ですが、数々の名シャトーが集うブルゴーニュの中でも「ブルゴーニュの神様」と呼ばれる伝説の醸造家がアンリ・ジャイエ氏なのです。
収穫量を制限し手摘みでブドウの収穫を行い、選果台を使って丁寧にブドウを選果し、低温浸漬を行う事によって上質のブドウエキスを抽出したのち、自然酵母で発酵する。
これは現在当たり前に行われている「ブルゴーニュスタイルの醸造法」ですが、長年かけてこの手法をつくり上げたのがアンリ・ジャイエその人です。
アンリ・ジャイエ氏は「ブルゴーニュの良さを引き出すために」誰もやっていない方法でコツコツと醸造法を編み出しました。
そのワインがデビューしたとたん、世界中に旋風が吹き荒れ、アンリ・ジャイエ氏の醸造法は瞬く間に「ブルゴーニュスタイル」として確立されたのです。
そんなアンリ・ジャイエ氏も1995年には引退、2006年に世界中のワインファンに惜しまれながら84歳でその生涯を閉じました。
「グリオット・シャンベルタン」について、ロバート・パーカーは「樽からでさえ非常においしく飲める」と評しています。
グリオット・シャンベルタンの特徴は「あふれんばかりの果実味」と「驚嘆を禁じえない複雑なタペストリー」だそうですが、その秘密は「ブドウ」にあります。
クロード・デュガは「古木であること」「収量が少ないこと」「収穫されるブドウが完璧に熟している事」「セラーが清潔であること」を信条としており、その考えは自然と協調して手をかけすぎないという「不干渉主義」に基づいています。
例えば肥料を使わないなど、ブドウが病気にかかっても自然治癒にまかせます。
こうすることによりブドウや土壌を「鍛える」のだそうです。
肥料を使うと、ピノ・ノワールはたくさん成ってしまい、優雅さだけが先立ち、力強さに欠けるブドウになるそうです。
肥料を与えず育てたブドウは小ぶりではありますが、より凝縮した果実がワインにあふれんばかりとなります。
クロード・デュガは「土地は苦しめるべきである」という言葉を口癖に、常に畑でブドウ達を見守っているのだそうです。
「幻のワイン」と言われるわりには高くないイメージもありますが、元々の数が少ないので価格よりも「入手困難」という面で手に入りにくいワインです。
樽から飲んでも美味しいワイン、一口でも恩恵にあずかりたいものです。