フランスのワインの産地としては真っ先に名前が挙がる「ボルドー」
「シャトー・ル・パン」は1981年からワイン造りをはじめた歴史の浅いシャトーですが、わずか2ヘクタールの畑から生まれたそのワインは、どんなに探しても見つからないレア中のレアワインとして人気を博し、急激な値の高騰から「シンデレラワイン」とも言われました。
このワインを造るヴィユー・シャトー・セルタンそのものは歴史あるシャトーですが、2代も前からシャトー・ル・パンの畑に目を付けていて「この畑が売りに出されたら買え」と遺言に残していたほどでした。
はたしてその狙い通り、遺言に残してまで手にいれた畑はボルドーでも最良のワインを生み出す事となったのです。
名のあるシャトーに見初められ、2ヘクタールの畑からわずか600ケースしか生産されない「シャトー・ル・パン」は「メルローの最高傑作」とも言われています。
生産量が少なく、ほとんど流通もしていないのに、シャトー・ル・パンを口にした人はだれもが賛美の声を挙げ、その味わいの素晴らしさをほめたたえています。
香りはクレーム・ド・カシスやプラム、チョコレートなど、豊潤でエレガンスであり、その味わいは実に官能的との事。
この華やかな味わいは畑があるポムロル丘陵の中ほどの鉄分豊富な砂利質の土壌に由来していると言われています。
もちろんブドウの出来ばかりでなく、発酵方法に酵母の力でなく乳酸菌の力を取り入れた「マロラクティック発酵」をボルドーで最初に取り入れたシャトーでもあるのです。
酵母で発酵をするより、乳酸菌の力を使った方が、より複雑でまろやかな口当たりのワインができるのだとか。
さらに樽はオークの新樽を使い、ワインの貯蔵庫の上に寝泊まりできる場所があり、交代でワインを監視するという徹底ぶり。
こうして出来上がったワインはひっそりと市場に出回りますが、オークションや一流レストランなどにしか出回らないため、まず一般の市場には流れません。
近年では「神秘的なワイン」とも呼ばれているそうですが、一度でいいからお目にかかってみたいものです。