「シャトー・ムートン」は1855年の格付けで2級ワインとされ、その後1973年の格付け見直しの際に、見事一級への昇格が認められたワインです。
最初の格付けで2級にされてしまった時「1級にはなれないが2級には甘んじられぬ。ムートンはムートンなり」と奮起し、畑から醸造技術、熱性方法などを見直し、改良を加え、長年にわたり一級になるための努力を惜しみませんでした。
特に1922年頃より生涯をワインづくりにささげたフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵は、ムートンの観光地化をおこなったり、瓶詰ワインを最初にはじめるなど、斬新なアイデアでムートンの地位を押し上げてきました。
シャトー・ムートンが1973年の格付けで1級となった時
「余は一級であり、かつては二級であった。ムートンは不変なり」
と言った台詞は有名ですね。
その味わいは、五大シャトーの中でも「豪勢」「派手」と評され、濃厚で豊潤な味わいは「男性的なワイン」とも言われています。
ちなみに「ムートン」の名前の由来は「羊=ムートン」からきていると思われがちですが、歴史を紐解くとこの地方の古い言葉で「mothon」(土塊)をあらわす言葉が訛ったものが正解だそうです。
ムートンのラベルに描かれている羊は、フィリップ男爵が牡羊座だったのと「土塊」の意味よりも「羊」のムートンの意味で世間に広まってしまった為に、羊をシンボルマークとした、という逸話が残されています。
ムートンのアイデアマンであるフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵は、1945年にフランスが解放された時、ヴィンテージごとにラベルの絵が違う「アートラベル」にする事を思いつきました。
それぞれのヴィンテージごとに、ダリ、ミロ、シャガール、ピカソ、バルチェスなど、芸術の国フランスならではの著名な画家が名を連ね、独自のラベル絵をムートンに施しました。
ワインとしての価値を求めるか
アートとしての価値を求めるか、
一風変わった選択肢があるのもムートンの特徴ですね。