「シャトー・ペトリュス」と聞けば世界の愛好家が目の色を変えて我が手中に収めようとするほど有名なワインであり、また、ボルドーワインの中では最も高価な赤ワインとしても知られています。
生産本数は4500ケースほどで決して多くはなく、1本の値段が30万以上もするので別名「ポムロールの王」とも言われています。
1889年にパリの万国博覧会で金賞に輝いた時から、上流社会のステータスシンボルとなりました。フランスワインの長い歴史の中で、わずか100年で最高価格のワインと評されるのはまさに奇跡なのだそうです。
「シャトー・ペトリュス」の畑の広さは11.4ヘクタール。
その中の5%ほど「カベルネ・フラン種」のブドウが植えられていますが、カベルネがブレンドされる事はなく、メルロー種のブドウ100%で作られる事がほとんどです。
メルロー種の管理は徹底されていて、その樹は一代が枯れるまで植え替えをする事はないとの事です。
「シャトー・ペトリュスと言えばグリーンハーベスト」と呼ばれるほど、ブドウの房の間引き作業とブドウの房回りの摘葉は有名で、この手間のかかる作業から凝縮感あるワインが誕生します。
選別されたブドウは朝露の乾く午後のみに収穫されます。
シャトー・ペトリュスを作る為には徹底的な「水滴の排除」が行われ、時にはヘリコプターの風圧を使ってブドウの水滴を飛ばしたり、雨水の浸水を防ぐために畑をビニールで覆ったりもしました。
こうして出来た最高級ワインの味わいは、官能的な香りを放ち、長期熟成後でも果実の濃縮感ある味わいが全く損なわれる事なく、素晴らしい余韻まで残してくれるそうです。
ちなみにシャトー・ペトリュスの名前は天国の門を守る聖人ペトロに由来します。
神話の領域とよばれしワインを守る聖人ペトロの姿を拝む事ができる人は、この上なく幸運なひと時を約束されることでしょう。